<   2007年 07月 ( 8 )   > この月の画像一覧

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〔The Prince (English Rose)/Austin:UK:1990〕

この世に生を受けていない時代へ、
いとも簡単に郷愁を感じてしまうとはいったい何事か?

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〔Louis XIV (China Rose)/Guillot:France:1859〕
〔The Prince (English Rose)/Austin:UK:1990〕
〔Cafe' (Floribunda)/Kordes:Germany:1956〕

朽ちてもまだ匂う業の深さよ...。
色濃く染まる緑も、既に飽和を迎える季節にさしかかっています。

G d D

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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-30 00:00 | 定点観察
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新しい部屋に引っ越した時。
まず何をするか?
家財が搬入される前に、何もない部屋で一晩を過ごす。
壁のいちばん広いところを見つけて、書架を張り巡らせる算段をする。

本棚のある部屋は何より落ち着きます。
レコード棚にも同じ事が云えるかもしれません。
いくつか遍歴を重ねてきたけれど、
やがて扉は必要ない事に気づきました。

思い立った時に手を伸ばし、
瞬時に旅の切符を手にする事が出来ます。

窓から射し込む光や、風向きひとつでその日出かける街を決めるように。
ページを捲る毎に現れる情景や、溝を削って回転する針のかすかな浮き沈み。

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2002年にリリースされたファーストアルバム『Quelqu'un m'a dit 』から早5年。
全曲英詩で綴られた歌には賛否両論の声も挙がったようだけれど、
個人的には、前作よりも耳に馴染むのが早かったように思います。

必要なだけの楽器を用いて、音と音との間に幾重にも隙間をつくる。
輪郭が柔らかいようでいて、その実綿密に計算された丁寧な音づくり...。
今回、英語の発音に関しては、マリアンヌ・フェイスフルが指導を行ったそうですが、
そこで幾度となく生まれたであろう数々の物語にも興味はつきません...。

その彼女が87年にリリースした名盤『Strange Weather』!
それこそ盤が擦り切れるまで聴いたものです。

ラストを締めくくる『At Last the Secret Is Out』〜ついに秘密が明るみに〜
ウィスタン・ヒュー・オーデンの詩によくもこの素晴らしいメロディーをつけたものです。

秘密をささやくなら...。
きっと誰しもそう願わずにはいられない。
唯一無二の声を天から授かったひとです。

3年前に恵比寿で観た彼女のステージは、とてもあたたかいものでした。
ちょっと忘れられそうにもありません。
惜しむらくは...、是非アナログでもリリースして欲しかった事かな。
ジャケ写も秀逸!

G d D

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[アリウム・シューベルティ:Allium schubertii]
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-25 00:00 | No Sad Songs for Me
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一年でいちばん短い夏。
沢山の人に会い。
週末ごとに西へ東へ。
車窓に海が見えてきたら、砂浜に降り立つのが待ちきれなくなります。

今年はどんな顔で迎えてくれるのでしょうか。
できれば毎週出掛けたいけれど...!

今、我が家では夏の薔薇たちが見頃です。
主が海へとうつつを抜かすその前に。
ほんのわずかですが、ここにご紹介いたします...。

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〔Sai Zhao Jun 賽昭君 (China Rose) /Unknown:China:Unknown]

夏薔薇といえば、チャイナの『賽昭君』。
この薔薇の夏の姿はホント素晴らしいです。
毎日の成長が楽しみな薔薇のひとつ。
この写真は開き切る一歩手前の姿。
最後はスカビオサのように可憐な姿へと変貌します。
細立ちで比較的背が高いので、風に揺れるさまがなんとも愛らしい...。
グリーン・アイがしっかりと姿を現すのはこの時期だけです。
春とはまるで別人のようですね。

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〔Pat Austin (English Rose) /Austin:UK:1995〕

夏の薔薇の特徴は、3枚目の写真のように反り返り、遠目には丸い玉のように見える事。
庭には、処狭しと小さな花火がいくつも打ち上げられます。
もうすっかり枯れたと思い込んでいたけれど、しっかり復活。
恐ろしく(!)丈夫な薔薇です...。

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〔Corvedale (English Rose) /Austin:UK:2001〕

4枚目は同じくERの『Corvedale』。
我が家では大株になった紫陽花に寄り添うように絡ませています。
イギリスの美しい渓谷の名を拝されたこの薔薇は夏にも花型が乱れず、
害虫の被害も少ない、非常に有り難い存在です。
ミルラの強い香りに加えて散る間際まで愛らしい姿を保ちます。
雨が似合う薔薇のひとつかもしれません。

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〔The Generous Gardener (English Rose)/Austin:UK:2002〕

最後の薔薇は、毎年夏にシュートを何本も立ち上げる『The Generous Gardener』。
今年は確認しただけでも6本ほど...。
隣家との隙間を覆って、持て余す程茂っています。
その姿は蓮か芍薬か...躯に似合わず花はあくまでも華奢に可憐なまま。
とても綺麗な薔薇だと思います。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-23 00:00
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多肉植物は栽培が楽チン。
...ってのはウソ。
ガステリア属は直射に当てると臙脂色に染まって痛んでしまう。
根が呼吸できるスペースは残しながらも、
ほどほどに放置して土を堅くするとゆっくりと経緯を楽しめます。
ユーフォルビア同様、好ましい緑に斑点も鮮やかな、
もっとも美しい多肉植物のひとつかもしれません。
ガステリアを選ぶ時。
この斑のあるなしに自然と左右されてしまいます。

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2枚目の写真は枝咲き桔梗。
花後のカサカサした質感がとても綺麗。
通常の桔梗と違ってうんと小ぶりなので、しゃがんで会話する感じです。

薔薇を主軸に育てていると、その他様々な植物たちが水分過多に陥って根腐れを起こす。
地上部から一気にダメになってしまうケースも多々あります。
配分が難しいのは、どの世界でもいえる事かもしれませんね。
ホント水遣りは難しいと痛感する瞬間です。

空を見上げて陽射しに目を細め...ほどよく湿った大地に緑を想う。
かくいう薔薇も花数こそ落ちるものの...、やはり半日陰の方が美しいと感じます。
いつの日か条件のよい大地へ薔薇をおろす時が来ても...。
雑木林のように落葉樹で囲ってみたい欲望に駆られるかもしれません。

今年は紫陽花の色の移ろいが例年にも増して鮮やか。
既に秋色に染まっているのをあちこちで目にします。
日照と湿度のバランスがちょうど良かったのかもしれませんね。
二日程前の雨の朝、路地裏でひっそりと紫木蓮が咲いていました...。
夏に咲いた木蓮を見たのは、生まれてこのかた初めての事です。

G d D

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〔Eugene de Beauharnais (China or Bourbon) /Hardy:France:1838〕
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-21 07:00 | 日暮らし

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夏を彩る様々な果実が店先に並び始めています。
旬の果実はその瑞々さも手伝って、ついつい手にしてしまうもの。
何でもいいのですが、部屋のどこかに果物があると、なんとなくほっとするんですね。
根菜類と共に、なるべくきらさないようにしています。

杏。
とりたててまた食べたいと思わせる味ではないけれど。
二つほど生でいただいて、残りはジャムにしてしまいました。
少し面倒ですが、種はきれいに剥がれます。
その種にはステロイドが含まれているとか...。
熱を通した果実から流れる匂いは、花が朽ちる寸前の甘さに似ています。

杏を沈めた硝子器は、フィンランドを代表する「iittala」のもの。
60年代に僅か3年ほどしか生産されなかったと聞いています。
もう40年以上も前のものですね。
繊細なエッジは吹き硝子ならではのもの。
古道具と呼ぶにはあまりにも洗練されすぎていますが、
数在る硝子器の中でも特に愛着の持てるひとつかもしれません。
沈んだグレイの色調はたたえる水を非常に美しく見せます。
特筆すべきは、キク科ノコギリ草を意味する『Achillea』という素敵な名がついている事。
普段は花を投げ入れる事が多いのですが、たまには趣向を変えてみるのも楽しいです。

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〔Evelyn (English Rose) /Austin:UK:1991〕

秋にわずかに返り咲くまで、夏はひと休みの筈の「Evelyn」。
今頃になって咲いています。
続く長雨にさらされ、この後、部屋に迎え入れる事なく散ってしまいましたが、
我が家ではちょっとめずらしい光景かもしれません。
若干花弁も少なく夏仕様だけれど、
緑陰の中、俯くように咲く姿も涼しげでいいものですね。
我が家には2株ありますが、どちらもつる薔薇扱い。
天蓋のように四方八方に伸びたいばらの薮は、さながら葡萄棚のよう...。
大きく伸ばした方が花付きもシュートの出もいいような気がします。

そして...湿度のせいでしょうか?
季節柄あまり期待していなかったけれど、独特の素晴らしい香りは健在です。

決して口にしてはいけない果実。
この薔薇の放つ匂いにはそんな印象を抱いています。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-17 00:00 | 旅する古道具

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椅子に座り、何処を眺めるでもなく外へと目を向ける。
飽きる程に見なれた窓辺からの景色も。
ひとつとして見飽きる事はない様々な色が誘い水。

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白い猫は塀の上を右に左に一日何度往来するのだろう。
黒い猫は決して渡り切る事はない。
塀の真ん中で隣家へと飛び下りる。

陽が沈むはずの西の方角から、東の光をたたえた風がゆっくりと廻り込み...。
やがて庭は真っ白になりました。

G d D

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〔Red Nelly (Hybrid spinosissima) /unknown:unknown 〕
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-11 00:00 | 日暮らし

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〔Mme. Georges Bruant (Hybrid Rugosa) /Bruant:France:1887〕

夏に咲く薔薇が好きです。
本来ならば重ねの厚い薔薇も。
ただ薄く...八重と一重の間を彷徨う。
そのちょっと物足りないような眼差し。
目を離した隙に散ってしまう心地よさ。

薔薇はハイブリッド・ルゴサの〜『Mme. Georges Bruant』。
同じ交配親を持つ「Blanc Double de Coubert」から、
そっと外連味を差し引いたような上品な面立ち。
柔らかな蕊の色合いも、この上なく優しい。
肌の色もただ白いだけではなく、陽射しに翳る夏の印象です。
断続的に返り咲いてばかりいる薔薇のひとつかもしれません。
写真にも色濃く夏が反映されているように感じます...。

熱を孕んだ空気中の微粒子は...未明に葉裏の隅々まで。
隙間を縫うように強い香りが滲みてゆくようです。

日本人は清潔であることを身上とするきらいがあるけれど。
そのひとしか持ち合わせていない匂い。
老いも若きも...所謂体臭を気にしすぎているように感じる今日この頃。

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雑踏の中、待ち合わせた場所には背中から...。
ふいにそのひとの気配に気づくのもいいものです。

いつもいつも石鹸の香りばかりでは、なんだかもったいない。
逆光の中、頬に透ける水蜜桃のような産毛に目が眩む。
素肌にも夏を纏いたいものです。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-08 23:00 | Sweeter than Sweet

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〔Orpheline de Juillet (Gallica) /unknown: unknown:pre-1836〕

今年の雨はとても気まぐれ。
天と地。どちらに寝返るのも既に面倒になったのかもしれませんね。
苔むした湿度を曖昧に残したまま、暦は七月になりました。
水は本来、とても自由なもの。
庭の隅々まで流れ滲み渡る。
そして時に行方知れず。

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薔薇は例えようもなくあさましい。
限られた環境の中に放り出されると、
同じ種族の中でも我先にとばかり天に向かって水を欲しがる。

ただ隣り合わせたというだけで、みず知らずの樹によりかかり、
鋭い爪で巻きつき這い昇り太陽を独り占めしようとする。

薔薇は例えようもなく甘ったれ。
自分から離れてゆく情の気配を感じた途端、
萎れてみたり、どす黒くその身を染めて俯きながら声も発さず訴える。

水を欲しがり、肥えを欲しがり、より広い棲処を欲しがる。
暑いのは嫌い。寒いのも嫌い。
豊かな花弁を乱す強い風も嫌い。
けれど穏やかな無風状態に身をおくのも我慢ならない。

適度に病気になって、適度にその身を窶し、誰彼ともなく哀れを乞う。

人間なんてもっとあさましい。
気分次第で窮屈な場所に閉じ込めたがる。
病を呼ぶのは、そう...自分勝手な「人」の気まぐれ。

別にふかふかのベッドじゃなくても平気です。
砂地だって平気。
そう...、大概な事は平気なんです。
どんな夜だって眠りにつく事は出来る。

薔薇はこの上なく寛容ですべてを受け入れる。
どんな生い立ちの、どんな生業の、どんな容貌の人とでも。
そう...誰とだって仲良くできる...。

生きて行く上で、太陽が必要なのは人間だって同じです。
授かったからにはこの命を守り抜きたい。そう、手段なんて選ばないんです。

鼓膜をくすぐる美しい音楽でさえも。
喉が震えるほど甘く香り高い果実でさえも。
今まで出逢った中で最上のもの。
愚かな人間にそう思わせる力。

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この薔薇は、今年たった一輪だけ咲きました。
やわらかな緑の衣は、朝露よりも瑞々しく目に眩しい。
鱗を思わせる、翳りを幾重にも纏い捩らせた花弁。
どんな痛みでさえも自分の色にしてしまう力強さを感じます。
光の射す方向から...、闇が潜む影の裏側まで知り尽くしている。

瞬時には正体の掴めない、なんとも妖しい匂い。
さほど強くはありませんが饐えた果実のような。
若々しい生まれたばかりの新芽のような。

持ち合わせている顔もきっとひとつではないのでしょう。

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彼女の名は『七月の孤児』。〜「Orpheline de Juillet」。
なんとも力強くたくましい甘美な響きです。
たった今、新しい夏に向かって旅に出たばかり。
きっと来年の5月まで戻ってきません。

成長して、ひとまわりもふたまわりも大きくなって帰ってくるのでしょうか?
どんな事があっても守り抜き、手塩にかけて育て、共に暮らしたいと思っています。
これから先、その名は変わらずとも、少なくとも我が家ではもう孤児ではありません...。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-01 00:00 | Sweeter than Sweet
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