<   2007年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧

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〔Camellia Rose (China Rose) /Prevost:France:1830〕

日頃から一季咲きの原種...オールドローズが好きだと公言して憚らないけれど、
一年を通してその薔薇の様々な表情を見る事のできる歓びは捨て難い。

この薔薇は、いつから我が家で咲いているのかもう忘れてしまったけれど、
忘れてしまう程にいつも咲いている気がします。
咲いていても決して気にならない薔薇ではなく、
散り急ぐその姿に足を止めてしまう美しさを持っていると常々感じます。

すべらかな枝は、か細くたよりない淡い淡い風情。
刻々と変化するいたずらな春の息吹。
たとえその身を白粉に染めてもひたすらに可憐なままを保ち。
花弁に触れると衣を解いてしまいそうで、手を差し伸べる事さえ危うい。
僅かな香りしか持ち合わせていないのも、この薔薇の「らしさ」でしょうか。

外にばかりいないで、たまには部屋へもあがりなさい...。
そんな気持ちになった春でした。

紫烟と見紛うばかりに立ちのぼる妖気は春の成せる技です。
『沈みゆく女』に見るモリー・パーカーの薄い皮膚のよう。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-05-28 00:00 | Sweeter than Sweet

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〔Falstaff (English Rose) /Austin:UK: 1999〕

次々に開花する薔薇たちを、それぞれ写真に収める時。
似たようなショットを何十枚も撮り、その中からたった1枚を選ぶのに苦心する。

結局いちばん最初に撮ったものを選んだりするのだから可笑しい。

この薔薇は、庭でも沢山撮ったけれど、どの過程も息を呑む程美しかった。
ただ.....、剛直な枝が四方へと斜上するので、狭いフレームには収まりきれない。
ひょんなところにその端正な顔をのぞかせるので、少し間の抜けた感じに...。
豊かなあまり、一日で散ってしまうような優しい風情の薔薇に負けるのです。

勢いよく切って硝子に挿した時、水をたたえてほどよく色が落ち着いた気がしました。
ひとり、もしくはふたり...。さみしい位がちょうどよい感じ。

散歩していると、誰が植えたのか育てているのか分からない薔薇を目にします。
忘れ去られていると呼ぶには相応しくない丹誠されたその姿に見知らぬひとの手を感じます。
この薔薇にもそんな印象を受けました。
草木も育たないような荒れ地に咲いていたら、さらに風情かもしれません...。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-05-20 00:00 | 日暮らし

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〔Mme. Alfred de Rougemont (Bourbon) /Lacharme:France: 1862〕

この季節は室内と庭を行ったり来たり...。
薔薇や様々な植物の手入れをしながら、同時に撮影もこなし...。
日に日に庭と部屋を隔てる境界線がなくなってゆきます。

我が家は庭に水道栓がないこともあり、キッチンから部屋をつっきって
庭へホースを回します。庭へ降り立つ床は常に水に濡れびしょびしょ。
この季節は乾く間もありません。
休日には終日窓を開け放っていますから、薔薇をめがけて飛来する様々な虫達も
僕と一緒に行ったり来たり...。鉢を取り込んでの撮影にいたっては床に土も落ちますし、
あまり有り難くない(見たくない)虫も一緒について来ます。
アブラムシなどは最近はまったく平気になりました...。

植物を取りまく環境は皆さんそれぞれ十人十色。
狭いベランダでいかにたくさんの植物を育てられるか配置に工夫を凝らし、
同時に洗濯物を干すスペースも確保しながら育てていらっしゃる方。
午前中しか陽が射さない東向きの庭。または沈みゆく西日しか望めない庭。
植物の光合成にかかせない太陽の恵みにはことかかないものの、
照りっぱなしで夏には灼熱の照り返しに思い悩む方。
プラスにもマイナスにもなりうるそんな環境の中で、
試行錯誤しながら植物と暮らしてゆくうちに、自然と知恵がついてきますね。
植物の生育を思いやり、共に共存する事は大いなる想像力を生み出します(笑)

この部屋に越して来た時、僕は非常に身軽な身でした。
元々、家財は電化製品を含め、必要最低限のものだけ。
少々場所をとる古道具や書籍の山を収納するのに骨が折れる程度です。
部屋を案内してくれる不動産屋さんは、もちろんマイナス点はアピールしないものですが
決め手となったのが、窓を開けた時に目に入って来たちいさなスペースだったのです。
運命だったのか、多肉植物に精通している僕の友人から緑の心を開く鍵を
簡単にこじ開けられてしまい、返還を重ねながらも様々な植物達と出逢ってきました。

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〔Yolande d'Aragon (Hybrid Perpetual)/Vibert:France:1843〕

ドクダミの蔓延るささやかな坪庭はスコップで掘り返してみると
瓦礫が出てくるわ出てくるわ...。当初、少なからず辟易した事を想い出します。
きっとこの棟を建てた時に生じた様々な残骸を土に埋めたのでしょうね。
高低の曖昧なデコボコのスペースを、出来る限り平行に均し
友人から譲り受けた2m弱の石盤をそれぞれずらして配置。
おそらく環境にもっとも適した、湿地を好む...、
日照をあまり必要としない山野草等を初めは育てていました。
今でも名残りのトクサやユキノシタ、ミズヒキ...紫陽花などは異様に元気です。

庭で最盛期の薔薇を撮る時、いちばん苦労するのがそのフレーム。
やはり写って欲しくないもの、隣家の雨樋とか物置きとか...。
隣接しているため、おおらかに枝を伸ばしたつる薔薇や高い位置に花を咲かせる
ハナミズキやマユミ。本来なら背景まで写しこんで雰囲気を伝えたいのですが
それがなかなか難かしい...。どうしてもある程度の距離は縮めなければなりません。

うまい具合に目線まで垂れ下がってきたつる薔薇やクレマチスなどは
時によい表情を捉えることも出来ますが、いかんせん個体を撮る時は
室内になってしまいます。心がけていることは自然光で撮る事。
今の時期、午前中から午後3時頃までが勝負です。
休日と薔薇の開花が重なってくれるのがもちろんベストなのですが、
仕事で家を空ける時間が長い為、庭で散らせたいとは思いながらも
そんな人間の思うように咲いてくれる筈もなく...。
室内での撮影が主となってしまいます。

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〔Sai Zhao Jun 賽昭君 (China Rose) /Unknown:China:Unknown〕
〔Eugene de Beauharnais (China or Bourbon) /Hardy:France:1838〕
〔Variegata di Bologna (Bourbon) /Bonfiglioli:Italy:1909〕
〔Sister Elizabeth (English Rose) /Austin:UK:2006〕

1枚目の薔薇は『Mme. Alfred de Rougemont』。
蕾を覆う飾り萼も愛らしい非常に華奢で小さな薔薇です。
カサカサした薄い葉も、とても涼しげ...。
すぐに通り過ぎてしまうような風。たなびく洗い立てのシャツに残る石鹸のような香り。
小さな姿ながら非常にフォトジェニックな表情を持っています。
このちいさな薔薇にはとても清潔な印象を持ちました。
図鑑によってはハイブリッド・パーペチュアルとの表記もあります。

2枚目の写真はつい昨日開花した朝摘みの薔薇たち...。
出勤前は時間との戦い(笑)この大きなボウルがとても役に立ちます。
あますところなく繋ぎ合わされた痛みも味わい深い、僕のお気に入りのひとつです。
非常に古い...欧羅巴のものと聞いています。
摘んだ草花を次々に投げ入れるのにとても重宝しています。
時間と共に僅かに水が漏れるのですが...それもいいのです(笑)

薔薇は左から。光線の具合でちょっと白く飛んでいますがチャイナの『賽昭君』。
乱れた花容ばかりが取り上げられる薔薇ですが、非常に甘い匂いを持っています。
ティー香がベースですが、熟れたマンゴーのような甘さも感じます。
ホントによく咲きます。春の花は限りなく優しい横顔。個別に撮らなければなりませんね。
ふたつに重なっている上段はハイブリッド・パーペチュアルの『Yolande d'Aragon』、
昨年12月にも記事に取り上げましたが、それはそれは濃密な香り。
切って花瓶に挿すと、日に日に香りが薄れてゆく薔薇が多い中、散る間際まで持続します。
摘みたての青い檸檬やラズベリー、割ったばかりの柘榴、パッションフルーツ。
贅沢に盛られた生きた果実の醸し出す甘酸っぱい香り...そんな印象です。
咲き始めは深いカップ状ですが開き切るとちょうどパフのようになります。
整然と並んだ花びらは花芯に向かってせめぎ合うように、終止乱れる事がありません。
下がチャイナもしくはブルボン説も根強い『Eugene de Beauharnais』。
この薔薇も、鼻腔から目頭まで一気に突き抜けるが如く、非常にスパイシー且つ甘い香り。
散り際、少し萎びた花びらが艶やかな紫に染まる時、なんともいえない情感を醸し出します。
続いて『Yolande d'Aragon』、絞りの薔薇はブルボンの『Variegata di Bologna』。
我が家ではすっかりつる薔薇と化し、春に一度しか咲かないものの、
長く伸びた枝先に捩れるように葉を展開させ、開花するにつれゆっくりと降下します。
翳った午後を思わせる、限りなく優雅な薔薇です...。
続く二輪はイングリッシュローズの『Sister Elizabeth』。
放射状に長く伸ばした枝先。俯き咲く姿にとても優しい雰囲気を漂わせます。
マットな暗緑色の葉に最後まで崩れないボタンアイ。花持ちもいいですね。
さわやかですが、青い...時に塩化ビニールのようなちょっと不思議な匂いも...。
そして最後も『Yolande d'Aragon』。今年はあと二輪程蕾が控えています。
我が家ではほぼつる薔薇扱い。大きくしなって重い花首をもたげます。
株元から180cmくらいでしょうか...。枝は直立ぎみで暴れません。

羽音を唸らせ、乱舞する虫達と格闘しながら、休日はあっという間に過ぎてゆきます...。
そう...時間の観念が薄れてゆくのを感じます。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-05-10 00:00 | Sweeter than Sweet

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〔Rosa. omeiensis Pteracantha (Species) /Unknown:China:1890〕

人それぞれに特別な月があるように。
薔薇と共に暮らす者にとって、5月は何ものにも変え難い月です。
今年は例年にない程暖かく、開花は既に4月から始まっていたけれど
萼が割れ、蕾みの色が見え始めてからの猶予のない慌ただしさは5月ならではのもの!

庭仕事に勤しみ、土に触れ、水やりの度にむせ返る薔薇の葉の匂いに酔い...。
はやる胸の鼓動とはうらはらに、さらに寡黙に...。
なんとなく血の気が引くような己の冷静さに気づかされます。

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〔Hume's Blush Tea-scented China : R.Odorata (Tea Rose) /Hume:UK:Pre-1809〕
〔Gruss an Aachen (Floribunda) /Geduldig:Germany:1909〕

今日の一枚目の薔薇は原種の『R. omeiensis Pteracantha』
図鑑やナーセリーによって表記がまちまちで統一・限定するのが難しいのですが、
『R. Sericea Pteracantha』、別名 『Wingthorn Rose 』との表示もあります。
中国西部原産とされ、オメイエンシスの由来は四川省の峨嵋山が由来とのこと。
峨嵋山をオーメイシャンと呼ぶ事からこの名がついたようです。
今回の記事の為に図鑑を捲ってへぇ〜...ってなもんでした。
妖しいほどに赤く透き通る棘は螺旋状に配置され、花のない時期もたいへん美しいもの。
古い棘は月日と共に次第に色を失ってゆきます...。

2枚目はティーローズの『Hume's Blush Tea-scented China』と、
フロリバンダの『Gruss an Aachen』。
『Hume's Blush Tea-scented China』は薔薇に四季咲きをもたらしたとされる
中国から欧羅巴へ輸出された最初の4種の薔薇の中のひとつとされていますね。
学名を『Rosa Odorata』、中国でこの薔薇のことを指して、『香水月季』。
ブログのタイトルを考えあぐねている際、
四つ並んだ字面の良さに、早々に決めた事を思い出します...。

細い枝を四方に奔放に伸ばし、どの枝先にも花をつける程の樹性の強さ。
花柄を摘んだそばから次の芽が出て真冬まで咲き続け...、ホントによく咲きます。
春は花弁も多く安定した花容ですが、冬空に項垂れるさまはなんとも風情があります。
台木によく使われるOdorataは一季咲きだそうですが、
いずれそちらの薔薇も是非育ててみたいと思っています。

『Gruss an Aachen』も、切り花で出回ってもおかしくない程の端正な花容。
蕾がほどけてゆく過程は息を呑む程の美しさです...。
まだ育てて一年にもなりませんが、とっても丈夫ですね。
去年の秋はもっとピンクが濃かったように思います。
他の皆さんのところでうかがっても、やはり季節によって極端に色が変わるらしいですね。

我が家は塀に遮られ、住宅の密集するうどん粉の温床。
当初、薔薇なんて育つのかな?...なんて心配していたけれど、
春だけは綺麗に咲いてくれます。
陽当たりの関係でよそのお宅よりも開花が遅い分、夏前まで楽しめますから
これから暫くはテーブルに薔薇の絶えない生活が始まります。
ウチは陽が射さないから...と諦めていらっしゃる方。
このブログに数回登場する薔薇は.......育ちます。

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3枚目は今現在我が家で咲いている薔薇たち。
左から『Hume's Blush Tea-scented China』、
チャイナの『Louis XIV』、つる薔薇の『Mme. Alfred Carriere』。
中央の黒薔薇はティーの『Francis Dubreil』、
背の高い一重の可憐な薔薇はコハマナシとも呼ばれる『Rosa Iwara』。
四月からずーっと今も咲いています。
株元から伸ばした枝先ほぼすべてに花をつけますから、
軽い匂いながらも辺りを包むように優しい空気が漂います。
そして今、庭でいちばん鈴なりの『Duchesse de Brabant 』、
続いて『Mme. Alfred Carriere』、『Gruss an Aachen』となります。
ティー香、ダマスク香入り乱れ、狭い部屋ながらも辺りは5月の気配でいっぱいです。

花器を置いている鉄柵状のものは、
以前閉店した焼き肉屋の店先に打ち捨てられていたもの。
肉汁と油の匂いがちょっとキツかったのですが、
金ブラシで錆を落とし、油を塗り混みいい感じに甦りました。
支えている台も古い鋳物で出来た皿立て。
瑞々しい摘みたての薔薇は落ち着いた錆色によく映えるように思います。

〜 JUST AS THE SLEEPING ROSE AWAITS THE KISS OF MAY.....。
ノルウェーのボーカリスト、Karin Krogが1974年にリリースした
ミッシェル・ルグラン集、『YOU MUST BELIEVE IN SPRING』からのタイトル曲。
曲中に綴られる素晴らしい一節から。
この美しい季節に相応しく、耳をくすぐるような甘美な響きです。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-05-03 00:00 | 月季
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