カテゴリ:Sweeter than Sweet( 43 )


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朝晩...随分と涼しくなりました。
ここ数日眠りが深く、
覚醒する明け方に見る夢の輪郭もぼんやりしています。

何もなかった庭に最初に植えたのは、トクサとミズヒキでした。
それは当時、高台の一軒家に住む友人から株分けしてもらったもの。
今でも、トクサは庭の一角に青々と茂り、
ミズヒキも、こぼれ種で随分と広がって
夕闇に赤い紅を灯すように季節を彩ってくれています。
枯れたトクサは細かく砕いて薔薇の鉢に敷き詰めると、
見目よくマルチの働きをしてくれるんです。

今日の1枚目の写真は屋久島キンミズヒキ。
通常のキンミズヒキも育てていますが、
姿形は全くといっていいほど違います。
屋久島と名のつくものは矮性のものが多いのは何故なんでしょうね?

この手の野趣溢れる草花に限っては、
黄色い花を咲かせるものに何故か惹かれます。
春には原種のラナンキュラスや一重八重...それぞれの山吹。
地を這うようにびっしりと敷き詰められた蛇苺の絨毯。
もっと沢山増えて欲しいと切に願っています。
夏から秋にかけては茴香やタンジー、オミナエシ、品川萩etc...。

夕闇に散らしたように点在する黄色い花々の綴れ織り。
ただそれだけで...とても目に優しい眺めです。

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〔Perfection de Montplaisir (Tea Rose) /Levet:France:1871〕

2.3枚目の薔薇はティーローズの『Perfection de Montplaisir』。
レモンイエローの薄い花弁は、指先で触れると痛んでしまいそうな程、儚い質感...。
ティーローズ特有の甘い匂いは、蕾がほどける前から鼻腔を快くくすぐります。
枝振りもたいへん細く、花に比べて小ぶりな葉も好ましい...まとまりの好い樹形です。
たいへん古い薔薇ですが、連続開花性にも優れていると思います。
この姿は今年の盛夏のもの。若干花びらが空気を含んだように軽やかですね。
まだ秋の支度をするには早い。俯きながらも夏を楽しんでいるかのようです。

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枝葉は花を映し、花は吸い寄せるように緑を映す。
目覚めても一日中脳裡を離れることのない明け方の夢のような色です...。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-09-12 23:30 | Sweeter than Sweet

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今年は例年にないほど『Evelyn』がよく咲きます。
秋でさえなかなか咲かない薔薇のひとつでしたが、
放任した事によってつる薔薇のような成長を見せ始め、
枝が伸び切ったところで更に新梢を芽吹かせる。

この薔薇の交配親は「Graham Thomas」と「Tomora」。
「Tomora」は育てていませんが、
「Graham Thomas」も我が家ではつる薔薇扱いです。
どちらも枝が大きく伸びてからの方が生育が抜群によいです。
いずれにしても、もう少し調べてみる必要がありそうですね。
つる薔薇つる薔薇と繰り返し書いていると、
どんな広い庭に咲いているのかと思われがちですが、
我が家の庭はどちらかといえばスペースというに等しいちっぽけな場所。
本当に狭い一角です。

以前、ある方から直々にお話を伺った事がありますが、
『Evelyn』は夏以降、肥料を与えない方が花付きがいいのだそうです。
狭い場所で薔薇を育てるには鉢の置き方にも工夫が必要です。
自然と知恵がついてきますね。
我が家では、棚を使わずに鉢を階段状に交互に積み重ねています。

この『Evelyn』は大株ですからピラミッド式にいちばん真下。
上部に重ねた鉢に遮られ手が届きません。
昨年から一切肥料を与えていない事に気づいた訳です。
上からのおこぼれでいちばん薄い肥料分が浸透している事になりますね。
株元に充分な日光が当たらず、薔薇の生育によい訳がないのですが、
今年は、嬉しい事にあらたなシュートも何本か出てきました。
時々、上部の鉢を移動させて株元をチェックするようにしています。
カミキリムシでもいたら大変!

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〔Evelyn (English Rose) /Austin:UK:1991〕
〔Gloire de Dijon(Climbing Tea)/Jacotot:France:1853〕

いつどんな時でも...欲しい薔薇は後を絶たないもの。
けれど、こんなにも移り気な主の心を
度々振り向かせてくれる薔薇もそうはありません。

よく蕾をつけるようになってからというもの。
ひと際エレガントなこの薔薇も さらにやさしい表情を見せるようになりました。
春に比べれば随分色も抑えられていますが...
装いもあらたに 自信に満ちた素顔のような美しさ。

時期を同じくして咲いた『Gloire de Dijon』と共に。
ふたつの薔薇が織り成す色彩と 沈んではたち昇る香しい微粒子。
挿した枝が短いのはご愛嬌。
晩夏を彩った...名残りの姿です。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-09-10 23:30 | Sweeter than Sweet

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〔Julia's Rose (Hybrit Tea) /Wisbech:UK:1976〕

この薔薇を手許で育てる前は、それはもう随分憧れたものでした。
季節折々に節目正しくキチンと咲いてはくれましたが、
花屋の店先で しどけなく項垂れている姿とは随分違う...。
初めて咲いた日にそんな印象を抱いたのを憶えています。

深い色合いで咲く事は稀で、いつも檸檬を絞った紅茶のように色褪せて。
温室育ちとは違って、花弁も心なしか若干厚かったように思います。
どんな薔薇でも育つ環境が違えば、
その容姿に変化が生じてくるのは当然なのかもしれません。
風雨にさらされ、西日にたくましく枝を伸ばす姿には、
常に力強いものが宿っていました。

残念ながら我が家では随分前に枯れてしまったんです。
この写真はたしかちょうど今頃。
過ぎし日の晩夏に我が家で咲いたものです。
その気持ちを反映してか、写真も僅かに数枚を残すのみ...。
切り花のJuliaと大きく違うのは、開ききった姿がとても優雅だった事。
蕊がまことに美しい...そう感じたのを憶えています。
写真の右手にぼんやり写っている姿が、露地物のJuliaの正しい姿かもしれません。

昔の恋人の写真が、思わぬ場所から出てきた時のような面映ゆさ...。
久しぶりに見て、微笑ましい気持ちになった次第です。

でもきっと...もう再び逢う事はないかもしれませんね。
この薔薇の色のように、今となっては過ぎ去った昔の出来事。
今でも時々、冷たい硝子越しにすれ違う事があるけれど。
あれはきっと別人、ただ貴女によく似た人なのでしょう。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-09-06 23:30 | Sweeter than Sweet
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〔セルリア/Serruria florida/ヤマモガシ科:セルリア属〕

見かけるとついつい買ってしまう花があります。
僕は普段からあまり切り花を買う習慣がありません。
思い切って買う時は、大きな枝ものがほとんど。
苔がびっしり張りついた山採の古木などが多いです...。

けれど、このセルリアに関しては何故か惹かれるものを感じて、
気がつくと包んでもらったりしている自分に気づきます。
以前、友人のお嬢さんの3歳の誕生日に
この花を小さなブーケにして贈った事がありました。

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元々は南アフリカが原産のワイルドフラワーですが、
初夏から晩夏にかけて、目にする機会がいちばん多いように思います。
稀に鉢植えに出逢ったりすることもあるけれど、未だに育てるには至っていません。
機会があれば、育てていらっしゃる方にお話を伺ってみたいと思っています。

英名はちょっと面映ゆく、『blushing bride』。
一部の昆虫が持つ体毛、もしくは触角を思わせる花芯もさることながら、
この花の持つ独特な甘い色合いは、無花果にナイフを入れた時に見る
淡く熟れた果肉の瑞々しさを連想させます。
花首がうなだれて咲くさまも非常に風情があり、
花器に挿したままで自然な枯色に変貌してゆく姿にも味わいがあります。

G d D

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by MiscellaneousOGRs | 2007-09-05 23:30 | Sweeter than Sweet

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〔Mme. Georges Bruant (Hybrid Rugosa) /Bruant:France:1887〕

夏に咲く薔薇が好きです。
本来ならば重ねの厚い薔薇も。
ただ薄く...八重と一重の間を彷徨う。
そのちょっと物足りないような眼差し。
目を離した隙に散ってしまう心地よさ。

薔薇はハイブリッド・ルゴサの〜『Mme. Georges Bruant』。
同じ交配親を持つ「Blanc Double de Coubert」から、
そっと外連味を差し引いたような上品な面立ち。
柔らかな蕊の色合いも、この上なく優しい。
肌の色もただ白いだけではなく、陽射しに翳る夏の印象です。
断続的に返り咲いてばかりいる薔薇のひとつかもしれません。
写真にも色濃く夏が反映されているように感じます...。

熱を孕んだ空気中の微粒子は...未明に葉裏の隅々まで。
隙間を縫うように強い香りが滲みてゆくようです。

日本人は清潔であることを身上とするきらいがあるけれど。
そのひとしか持ち合わせていない匂い。
老いも若きも...所謂体臭を気にしすぎているように感じる今日この頃。

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雑踏の中、待ち合わせた場所には背中から...。
ふいにそのひとの気配に気づくのもいいものです。

いつもいつも石鹸の香りばかりでは、なんだかもったいない。
逆光の中、頬に透ける水蜜桃のような産毛に目が眩む。
素肌にも夏を纏いたいものです。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-08 23:00 | Sweeter than Sweet

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〔Orpheline de Juillet (Gallica) /unknown: unknown:pre-1836〕

今年の雨はとても気まぐれ。
天と地。どちらに寝返るのも既に面倒になったのかもしれませんね。
苔むした湿度を曖昧に残したまま、暦は七月になりました。
水は本来、とても自由なもの。
庭の隅々まで流れ滲み渡る。
そして時に行方知れず。

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薔薇は例えようもなくあさましい。
限られた環境の中に放り出されると、
同じ種族の中でも我先にとばかり天に向かって水を欲しがる。

ただ隣り合わせたというだけで、みず知らずの樹によりかかり、
鋭い爪で巻きつき這い昇り太陽を独り占めしようとする。

薔薇は例えようもなく甘ったれ。
自分から離れてゆく情の気配を感じた途端、
萎れてみたり、どす黒くその身を染めて俯きながら声も発さず訴える。

水を欲しがり、肥えを欲しがり、より広い棲処を欲しがる。
暑いのは嫌い。寒いのも嫌い。
豊かな花弁を乱す強い風も嫌い。
けれど穏やかな無風状態に身をおくのも我慢ならない。

適度に病気になって、適度にその身を窶し、誰彼ともなく哀れを乞う。

人間なんてもっとあさましい。
気分次第で窮屈な場所に閉じ込めたがる。
病を呼ぶのは、そう...自分勝手な「人」の気まぐれ。

別にふかふかのベッドじゃなくても平気です。
砂地だって平気。
そう...、大概な事は平気なんです。
どんな夜だって眠りにつく事は出来る。

薔薇はこの上なく寛容ですべてを受け入れる。
どんな生い立ちの、どんな生業の、どんな容貌の人とでも。
そう...誰とだって仲良くできる...。

生きて行く上で、太陽が必要なのは人間だって同じです。
授かったからにはこの命を守り抜きたい。そう、手段なんて選ばないんです。

鼓膜をくすぐる美しい音楽でさえも。
喉が震えるほど甘く香り高い果実でさえも。
今まで出逢った中で最上のもの。
愚かな人間にそう思わせる力。

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この薔薇は、今年たった一輪だけ咲きました。
やわらかな緑の衣は、朝露よりも瑞々しく目に眩しい。
鱗を思わせる、翳りを幾重にも纏い捩らせた花弁。
どんな痛みでさえも自分の色にしてしまう力強さを感じます。
光の射す方向から...、闇が潜む影の裏側まで知り尽くしている。

瞬時には正体の掴めない、なんとも妖しい匂い。
さほど強くはありませんが饐えた果実のような。
若々しい生まれたばかりの新芽のような。

持ち合わせている顔もきっとひとつではないのでしょう。

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彼女の名は『七月の孤児』。〜「Orpheline de Juillet」。
なんとも力強くたくましい甘美な響きです。
たった今、新しい夏に向かって旅に出たばかり。
きっと来年の5月まで戻ってきません。

成長して、ひとまわりもふたまわりも大きくなって帰ってくるのでしょうか?
どんな事があっても守り抜き、手塩にかけて育て、共に暮らしたいと思っています。
これから先、その名は変わらずとも、少なくとも我が家ではもう孤児ではありません...。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-07-01 00:00 | Sweeter than Sweet
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〔Blanc de Vibert〜Blanche de Vibert (Portland)/Vibert:France:1847〕

一季咲きの白薔薇の蕾がほころび始める頃には、
決まっていつもよりも早めに起床していた事を想い出します。

まだあたりが薄蒼い時間帯。
やわらかな花弁に闇を纏い、時間とともにゆるやかに開き始めるさまは、
どの四季咲きの薔薇にも見られない美しさ。
その一瞬は、白薔薇だけに許された朝まだきなのかもしれません。

次に逢えるまでの一年間。お互いに長い月日等、さも忘れたように過ごすのでしょうか...。

薔薇がお好きでない方も、もちろん薔薇を愛してやまない方も...。
薔薇には特別興味のない方でも。
白薔薇が嫌いだという方はあまりいらっしゃらないのではないかと思います。


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〔Mme. Hardy (Damask)/Hardy:France:1832〕

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〔Alba Semi-plena (Alba)/unknown:unknown:pre-1600〕

1枚目の薔薇はポートランドの『Blanc de Vibert』。
葉色も淡く好ましい、ほどよい中輪の花はつんとするほどの甘酸っぱい香り。
終焉に向かって花びらの配列が乱れる頃に真の美しさを発揮するように思います。
この薔薇も大好きなVibert 作出。
氏の作出した薔薇の中でもお気に入りのひとつです。
季節を問わず、忘れた頃にぽつんと返り咲きます。

2枚目は『Mme. Hardy』。
3年程前に新苗で迎えてからというもの、株は充分過ぎる程成長しましたが、
花を見るのは今年が初めてになります...。
たった一輪だけ、斜上した枝先にぽつんともの言わず花開いたさま。
続く3、4番目の『Alba Semi-plena』と共に、10号鉢で育てています。

『Mme. Hardy』と同じ時期に迎えたこの薔薇には、多大なる信頼を寄せています。
特別な施肥や管理も必要とせず、毎年隙間を埋めるように房になって咲きます。
沈んだ色調のグレイの薮に点在する蕊も鮮やかな白い花...。香りも素晴らしい。
挿し木で育てた小さな苗もありますが、時折、非常に花弁の多い姿になります。
手持ちの図鑑のひとつに紹介されている『Alba Semi-plena』は、
ピンクがかった巻の多いふくよかな花容。どう見ても『Alba Semi-plena』ではない...。
当初、編集の際に何かの手違いで違う薔薇の写真が使われたのだろうと思っていました。
我が家でそんな姿を見かけた時には、びっくりしたものです。
あまりにも特徴的な、ひと目でそれとわかる完成された花にも起こりうるものなのですね。

いちばん最後の薔薇は、ティーの『Hovyn de Tronchère』。
本来なら、もう少しアプリコットが強く出るはずですが、
我が家では今年の春、このような色で咲きました。
すべての枝先に開いた花は、重くうつむきなんともいえない情感を醸し出します...。

白薔薇は問わず語り...。
何も話しかけずとも、その花容がすべてを物語ってくれます。
ただ何も考えず、それぞれの薔薇の持つ美しさを味わっていただければ幸いです。
つたない写真ではありますが、どうぞご容赦ください...。
皆さんそれぞれの朝、6月最後の週末にこの白い薔薇たちが咲きますように。

G d D

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〔Hovyn de Tronchère(Tea)/Puyravaud:France:1899〕
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by MiscellaneousOGRs | 2007-06-30 07:00 | Sweeter than Sweet

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〔Mrs. Doreen Pike (Hybrid Rugosa*English Rose) /Austin:UK:1994〕

何も薔薇に始まった事ではないけれど、
自然と向き合うには年月を要する事も多々あります。
人と人との関係もそうかもしれませんね。

痺れをきらす程に焦らされ、幾年暦を捲っても茂るは葉ばかり...。
すべての薔薇は花だけにあらず。
幹も葉も棘もすべてが愛おしいもの。

ルゴサの葉はあまり好きになれないものが多いけれど。
この薔薇に関しては、刻んだ葉脈も柔らかく、明るい緑をたたえて好ましい。
時折翳る表情豊かなピンクの花弁...、糸のように細い飾り萼、鋭い棘。
図らずも、僕が望む要素をたっぷりと秘めた薔薇であることに違いはありません。

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枝毎の蕾は、日をずらしてゆっくりと開花してゆきます...。
折りたたまれた花弁は乱れに乱れて優しく捩れ、まことに美しい!
我が家では開花は遅く、他の薔薇がひと段落した5月中旬に咲きました。

その匂いは、雨に濡れた苔。
芍薬にも似た、青い草樹だけが持つ鮮烈な生々しさ。
痛む寸前の薔薇が放つダマスク香のようにも...。
強いけれど、緩急をわきまえた変幻自在な野生の匂いです。

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片恋なら実らない方がよろしい。
繰り返して晩夏まで咲かなくてもよろしい。
待ち焦れた薔薇は、一度だけの季節に影を落として過ぎ去っても構わない...。
その姿は、どの角度から眺めても5月をまとっているように感じたものです。

取り澄ました体を装っても、胸の内に過った火は見えていたかもしれませんね。
僕が業を煮やした昔など知る由もなく。
ただひたすらに幾重にも...紙のように薄い貴女です。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-06-06 00:00 | Sweeter than Sweet
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〔Camellia Rose (China Rose) /Prevost:France:1830〕

日頃から一季咲きの原種...オールドローズが好きだと公言して憚らないけれど、
一年を通してその薔薇の様々な表情を見る事のできる歓びは捨て難い。

この薔薇は、いつから我が家で咲いているのかもう忘れてしまったけれど、
忘れてしまう程にいつも咲いている気がします。
咲いていても決して気にならない薔薇ではなく、
散り急ぐその姿に足を止めてしまう美しさを持っていると常々感じます。

すべらかな枝は、か細くたよりない淡い淡い風情。
刻々と変化するいたずらな春の息吹。
たとえその身を白粉に染めてもひたすらに可憐なままを保ち。
花弁に触れると衣を解いてしまいそうで、手を差し伸べる事さえ危うい。
僅かな香りしか持ち合わせていないのも、この薔薇の「らしさ」でしょうか。

外にばかりいないで、たまには部屋へもあがりなさい...。
そんな気持ちになった春でした。

紫烟と見紛うばかりに立ちのぼる妖気は春の成せる技です。
『沈みゆく女』に見るモリー・パーカーの薄い皮膚のよう。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-05-28 00:00 | Sweeter than Sweet

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〔Mme. Alfred de Rougemont (Bourbon) /Lacharme:France: 1862〕

この季節は室内と庭を行ったり来たり...。
薔薇や様々な植物の手入れをしながら、同時に撮影もこなし...。
日に日に庭と部屋を隔てる境界線がなくなってゆきます。

我が家は庭に水道栓がないこともあり、キッチンから部屋をつっきって
庭へホースを回します。庭へ降り立つ床は常に水に濡れびしょびしょ。
この季節は乾く間もありません。
休日には終日窓を開け放っていますから、薔薇をめがけて飛来する様々な虫達も
僕と一緒に行ったり来たり...。鉢を取り込んでの撮影にいたっては床に土も落ちますし、
あまり有り難くない(見たくない)虫も一緒について来ます。
アブラムシなどは最近はまったく平気になりました...。

植物を取りまく環境は皆さんそれぞれ十人十色。
狭いベランダでいかにたくさんの植物を育てられるか配置に工夫を凝らし、
同時に洗濯物を干すスペースも確保しながら育てていらっしゃる方。
午前中しか陽が射さない東向きの庭。または沈みゆく西日しか望めない庭。
植物の光合成にかかせない太陽の恵みにはことかかないものの、
照りっぱなしで夏には灼熱の照り返しに思い悩む方。
プラスにもマイナスにもなりうるそんな環境の中で、
試行錯誤しながら植物と暮らしてゆくうちに、自然と知恵がついてきますね。
植物の生育を思いやり、共に共存する事は大いなる想像力を生み出します(笑)

この部屋に越して来た時、僕は非常に身軽な身でした。
元々、家財は電化製品を含め、必要最低限のものだけ。
少々場所をとる古道具や書籍の山を収納するのに骨が折れる程度です。
部屋を案内してくれる不動産屋さんは、もちろんマイナス点はアピールしないものですが
決め手となったのが、窓を開けた時に目に入って来たちいさなスペースだったのです。
運命だったのか、多肉植物に精通している僕の友人から緑の心を開く鍵を
簡単にこじ開けられてしまい、返還を重ねながらも様々な植物達と出逢ってきました。

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〔Yolande d'Aragon (Hybrid Perpetual)/Vibert:France:1843〕

ドクダミの蔓延るささやかな坪庭はスコップで掘り返してみると
瓦礫が出てくるわ出てくるわ...。当初、少なからず辟易した事を想い出します。
きっとこの棟を建てた時に生じた様々な残骸を土に埋めたのでしょうね。
高低の曖昧なデコボコのスペースを、出来る限り平行に均し
友人から譲り受けた2m弱の石盤をそれぞれずらして配置。
おそらく環境にもっとも適した、湿地を好む...、
日照をあまり必要としない山野草等を初めは育てていました。
今でも名残りのトクサやユキノシタ、ミズヒキ...紫陽花などは異様に元気です。

庭で最盛期の薔薇を撮る時、いちばん苦労するのがそのフレーム。
やはり写って欲しくないもの、隣家の雨樋とか物置きとか...。
隣接しているため、おおらかに枝を伸ばしたつる薔薇や高い位置に花を咲かせる
ハナミズキやマユミ。本来なら背景まで写しこんで雰囲気を伝えたいのですが
それがなかなか難かしい...。どうしてもある程度の距離は縮めなければなりません。

うまい具合に目線まで垂れ下がってきたつる薔薇やクレマチスなどは
時によい表情を捉えることも出来ますが、いかんせん個体を撮る時は
室内になってしまいます。心がけていることは自然光で撮る事。
今の時期、午前中から午後3時頃までが勝負です。
休日と薔薇の開花が重なってくれるのがもちろんベストなのですが、
仕事で家を空ける時間が長い為、庭で散らせたいとは思いながらも
そんな人間の思うように咲いてくれる筈もなく...。
室内での撮影が主となってしまいます。

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〔Sai Zhao Jun 賽昭君 (China Rose) /Unknown:China:Unknown〕
〔Eugene de Beauharnais (China or Bourbon) /Hardy:France:1838〕
〔Variegata di Bologna (Bourbon) /Bonfiglioli:Italy:1909〕
〔Sister Elizabeth (English Rose) /Austin:UK:2006〕

1枚目の薔薇は『Mme. Alfred de Rougemont』。
蕾を覆う飾り萼も愛らしい非常に華奢で小さな薔薇です。
カサカサした薄い葉も、とても涼しげ...。
すぐに通り過ぎてしまうような風。たなびく洗い立てのシャツに残る石鹸のような香り。
小さな姿ながら非常にフォトジェニックな表情を持っています。
このちいさな薔薇にはとても清潔な印象を持ちました。
図鑑によってはハイブリッド・パーペチュアルとの表記もあります。

2枚目の写真はつい昨日開花した朝摘みの薔薇たち...。
出勤前は時間との戦い(笑)この大きなボウルがとても役に立ちます。
あますところなく繋ぎ合わされた痛みも味わい深い、僕のお気に入りのひとつです。
非常に古い...欧羅巴のものと聞いています。
摘んだ草花を次々に投げ入れるのにとても重宝しています。
時間と共に僅かに水が漏れるのですが...それもいいのです(笑)

薔薇は左から。光線の具合でちょっと白く飛んでいますがチャイナの『賽昭君』。
乱れた花容ばかりが取り上げられる薔薇ですが、非常に甘い匂いを持っています。
ティー香がベースですが、熟れたマンゴーのような甘さも感じます。
ホントによく咲きます。春の花は限りなく優しい横顔。個別に撮らなければなりませんね。
ふたつに重なっている上段はハイブリッド・パーペチュアルの『Yolande d'Aragon』、
昨年12月にも記事に取り上げましたが、それはそれは濃密な香り。
切って花瓶に挿すと、日に日に香りが薄れてゆく薔薇が多い中、散る間際まで持続します。
摘みたての青い檸檬やラズベリー、割ったばかりの柘榴、パッションフルーツ。
贅沢に盛られた生きた果実の醸し出す甘酸っぱい香り...そんな印象です。
咲き始めは深いカップ状ですが開き切るとちょうどパフのようになります。
整然と並んだ花びらは花芯に向かってせめぎ合うように、終止乱れる事がありません。
下がチャイナもしくはブルボン説も根強い『Eugene de Beauharnais』。
この薔薇も、鼻腔から目頭まで一気に突き抜けるが如く、非常にスパイシー且つ甘い香り。
散り際、少し萎びた花びらが艶やかな紫に染まる時、なんともいえない情感を醸し出します。
続いて『Yolande d'Aragon』、絞りの薔薇はブルボンの『Variegata di Bologna』。
我が家ではすっかりつる薔薇と化し、春に一度しか咲かないものの、
長く伸びた枝先に捩れるように葉を展開させ、開花するにつれゆっくりと降下します。
翳った午後を思わせる、限りなく優雅な薔薇です...。
続く二輪はイングリッシュローズの『Sister Elizabeth』。
放射状に長く伸ばした枝先。俯き咲く姿にとても優しい雰囲気を漂わせます。
マットな暗緑色の葉に最後まで崩れないボタンアイ。花持ちもいいですね。
さわやかですが、青い...時に塩化ビニールのようなちょっと不思議な匂いも...。
そして最後も『Yolande d'Aragon』。今年はあと二輪程蕾が控えています。
我が家ではほぼつる薔薇扱い。大きくしなって重い花首をもたげます。
株元から180cmくらいでしょうか...。枝は直立ぎみで暴れません。

羽音を唸らせ、乱舞する虫達と格闘しながら、休日はあっという間に過ぎてゆきます...。
そう...時間の観念が薄れてゆくのを感じます。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-05-10 00:00 | Sweeter than Sweet
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