掌には紙の匂い。


c0097879_14535477.jpg

『The Day-to-Day Life of Albert Hastings』
[Kaylynn Deveney:Albert Hastings/2007]

皆さんは週にどの位の頻度で本を手にしますか?
僕は日に1〜2度...日課のように本屋に立ち寄ります。
そう...駅の改札を通過する回数と同じ位。
幼い頃から本屋の匂いがたまらなく好きなのです。
夕方以降 本屋をハシゴする事も珍しくありません。

同じコーナーで 一時間程貪るように頁を捲る日もあれば
書架の間を往来しながらも 何も目に入ってこない日もあります。
日に数えきれない程発行される書籍たち。
足を運ぶうちに自然と姿を消す週刊誌や季刊誌。
普段あまり手にする事のない雑誌でさえも
自然と発売日が頭の隅に入力されてしまう始末です。

仕事帰りに立ち寄った書店で一冊の写真集に出会いました。
両側から分厚い本に挟まれた黄色い背表紙...優しい手描き文字。
120頁にも満たない程の薄い写真集です。

c0097879_153152.jpg

[ Irene Watts (Floribund or China Rose) /Guillot:France:1896]

キチンとアイロンのかかったシャツ。
ベッドの上に折りたたまれたパジャマ。
簡素に部屋を横切るロープには着慣れた部屋着や靴下。
陽の差し込む窓辺に挿された一本の花。
鬱蒼とした庭に散り乱れる花びら。
サイドボードには妻の若き日の写真。
虫眼鏡で活字を追い マーケットで買い出しをする。
じゃがいもの皮を剥き スコーンを焼き トーストにバターを塗る。

c0097879_1554749.jpg


老人の慎ましい日々が とても丁寧に綴られています。
ひとりの女性写真家の目によって切り取られた日暮し。
散歩の道すがら、声を交わすようになったふたりの間に生まれた風。
それぞれの写真に添えられた文字はAlbert Hastings氏自身が綴ったものです。

写真 中段の薔薇は11月中旬に訪れた 草ぶえの丘で撮った「イレーヌ・ワッツ」。
とても寒い一日でした。
日が翳ってきた午後には霧雨が音もなく降りてきて
衣服の隅々まで染み通ってしまいました。
この日に撮った写真はほんの50枚ほど。
おりをみてUPできたら...そう思っています。

いつの日か自分が年老いた時 どんな目線で花を見つめ
過ぎ行く季節と風の匂いに目を細めるのか...。
僕の傍らには 今と同じように 薔薇が咲いていてくれるでしょうか?

鞄に入る手頃な大きさ薄さゆえ...手にした日から持ち歩いています。
回顧録ではなく 未だ見ぬ未来がぎっしり詰まった とても素敵な一冊です。

G d D
[PR]
by MiscellaneousOGRs | 2007-12-01 00:00 | No Sad Songs for Me
←menuへ