紅に薄墨。


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朝、窓を開けると冷んやりと沈んだ微粒子が部屋いっぱいに流れ込んできます。
雨の中に白い息がかき消されてゆく。
猛暑の影響で紅葉も一段と遅い秋。
それでも今年の秋は本当に美しいと思います。

珈琲も紅茶も、番茶でさえも...ひときわ喉にやさしく感じられ。
アラジンに灯る青い火が日に日に恋しくなりますね。
薬缶の湯気を眺める季節まであともう少し。
扉を開けると親しい気安さで冬が上がり込んでくるようです。
あたらしい季節はいつでも何かしらの手土産を持参してくれる。
胸に一輪挿したのは紅い灯火。
陽光にさらされた庭の片隅から...
長めに手折って砂地に挿すと花弁に一筋薄墨が流れます。
くれないは桃を経て...やがてむらさきに。
写真は上から順を追って開花を辿ったものです。
和名「日光」の名に相応しく、秋の陽射しの中に見る姿もそのままに。
見目よい蕾がほどけてゆくさまはチャイナ。
朽ちる寸前の姿はブルボン。
すらりと引き締まった長い花首は両者の美しさを共に見る思いです。

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重ねが一枚ずつ厚くなってゆく季節。
紅い薔薇を紅いままに撮るのは本当に難しい。
ほんの少しだけ、この薔薇の横顔に近づけた気がしています。
冬に備えて仕上げを待ったツイードのジャケット。
袖を通すその前に。今はボタンホールに挿しています。
枝から水に。水を離れて布地に。
布地から床にこぼれてしまう前に土に戻さなければいけません。
それでもきっと足跡を残してくれるはず。
この薔薇の香りは部屋を満たしてしまうほどに強い。
瞼の裏側に閃光が走るほど鮮烈且つもの憂げな香りです。

僕が普段から書き連ねていることは...。
一個人が感じた季節の移ろうさま。
所謂 毒にも薬にもならない儚いものだと思っています。

11月に入り、当ブログも暫しお休みをいただいておりました。
しかも1週間更新の宣言を破って(笑)
ダメダメっぷりを大いに発揮させていただきました。
ことのほか仕事も多忙をきわめた10月後半。
加えてPCの作動環境も非常に不安定な日々が続いておりました。
折から懇意にさせていただいている皆様のところへも不義理をしたまま。
たいへん申し訳なく感じております。
今日のこの紅い灯を機に再開できたらと思っています。

燦々と陽が射すその前に。
今日はカメラを手に電車に揺られてゆっくり遠出してみます。
さらに新しい季節の香りを皆様にもお届け出来るといいのですが...。

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〔Gruss an Teplitz 日光 (China or Bourbon) /Geschwind:Hungary:1897]

皆様もどうぞよい一日をお過ごしくださいね。
どの方の胸にも紅い火が灯りますよう。
日々そう願ってやみません。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-11-11 08:00 | 月季
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