鳩尾の甘い痛み。

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〔Stanwell Perpetual(Hybrid Spinosissima) /Lee:UK:1838〕

今までに出会った薔薇の中でおそらく最良のもの。
僕のもっとも好きな薔薇のひとつです。

淡い蕾。
奔放に四方へと枝垂れた枝先...捩れながら花弁がそっとほどけるさま。
透き通る大小の紅い棘に覆われた華奢なその躯。
花芯に向かって時にゆるやかに...。
時に寸分の隙もないほど凛として折りたたまれた花びらの配列。
やさしく滲んだピンクは日を追う毎に薄くなり、
やがて散り際には真っ白に退色する。

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こぬか雨に沈む 蒼みを帯びたダマスクの香り。
花だけではなく、枝葉、主幹にいたるまで...。
樹全体から立ちのぼるは森林の微粒子。

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今年の夏。
焼けたうなじから新しい皮膚が何度も再生されるほど、
日々容赦なく照りつける強い日差しに薄い葉はちりぢりになり、
時に枯れ葉のようにしおれていました。
もうこのまま枯れてしまうかもしれないと半ば諦めていた頃。
...思わぬことにシュートが二本も出て来たのでした。
それでも当分は花は望めないと思っていたんです。

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鋏を入れたからといって必ずしも蕾をつけるとは限らない。
季節折々の狭間に咲く、その気まぐれな性質もとても素敵だと思います。
少し大袈裟かもしれないけれど、生きてこの薔薇に逢える喜び。
指先が熱くなり...躯のそこかしこに眠る細胞がめまぐるしく駆け回る。
いつもそんな感覚に襲われます。

写真は最終的に2枚まで絞り込む予定でしたが、
この薔薇の持つ様々な横顔が今も捨てられずにいます。

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目に見えるうつろいがこんなにも美しいものだと言う事を
どの季節にも胸に問いかけてくれる希有な存在です。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-10-18 00:00 | Sweeter than Sweet
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