夜を映す鏡。


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〔Vol de Nuit (Hybrit Tea)/Delbard:France:1970〕

書店で友人を待つ間、その一ページに捲る指先が止まったのは
ガラスのベースにたった一輪挿してあった薄紫の薔薇でした。
それは雑誌ではなく一冊の写真集だったかもしれません。
洋書だった事をなんとなく憶えています。

非常に現代的且つ機能を優先させた一分の隙もないキッチンの姿。
冷たい白壁にステンレスが異様な程青く光る朝の風景。
大きく切り取られた窓から射し込む朝の光がとても綺麗でした。

日々の暮らしに無惨に切り刻まれた木のまな板や
フライパンから飛び散る油の飛沫が壁に描く西日模様。
人がそこで暮らしている事がより身近に感じられる眺め...。
いつだってそんなものに惹かれていた筈だったのに。
たった一輪の薔薇が風景を変え、同時に人の心をも変えてしまう。

僕は、所謂青い薔薇というものに対して、あまり食指が動きません。
青い薔薇というよりも藤色の薔薇といった方が適しているかもしれない。
美しいとは思いつつ、何故か気持ちが揺れないのは、
そのあまりにも上品な淡い色合いと、
限定されたイメージのせいだったのかもしれません。

真夜中に目が醒め、乾いた喉が水を欲しがるままに台所へ...。
闇の中にふっくらと浮かんだ紫の薔薇は
夜を映し、冴え冴えとしてとても美しかった。
鈍く光るシンクに沈んだ匂いも生々しい...。
朝摘んだ時には気づかなかった表情です。
どの季節も比較的枝を長めにとる事ができるので、
たとえ数輪咲いても一輪ずつを挿すようにしています。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-09-23 00:00 | Sweeter than Sweet
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