花から遠いひとへ。


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〔クサハナビ(草花火)/スベリヒユ科:タリヌム属:Talinum calycinum〕

9月14日。
今日は僕の母の誕生日。
今年で還暦を迎えたんだそうです。
9と1と4という数字の並びはなんとなく女性的。

僕が母と暮らした年数は非常に短く、両手にも及びません。
けれど最近になって思うのは、
それだけ短い期間しか一緒に暮らしていないにもかかわらず、
やはり気質は母から受け継いでいる部分が大きいということ。
熟した照柿のような夕暮れを嫌い、長年喫っていた煙草の銘柄も同じ。

母は僕を産んだ時、心身共に疲れ果てていて、
産室の壁ばかりを見つめ ロクに抱こうともせず、
名前さえつけるのも疎ましがったと聞いています。
けれど...葛藤の末に 僕を産む決意をした事。
そして産んでくれた事に今はただ感謝するのみです。

母が花を生けたり 両手に抱えたりしている姿を、いまだかつて見た事がありません。
どんな時でも人生に淡い幻想を抱かず、常に目の前にある現実だけがすべて。
そんなひとのように思います。

朝から、今日は母の誕生日だという事が頭の隅にあったにもかかわらず、
幾つになったのだろうと23時も50分をまわってから慌てて電話をしましたが、
『私もとうとう還暦を迎えたわよ...、イヤんなっちゃうわ。』と元気な声。
口ではそんな事を云いながらも、常に今がいちばん楽しいと漏らしています。
余談ですが、還暦は満60歳の誕生日とは関係ないものらしいですね。
気まぐれの夏の帰省。他愛のない口喧嘩も今となっては楽しいものです。

奇しくも母が僕を産んだ歳と今の僕の年齢を足すと...ちょうど60になります。

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〔コスモス ダブルクリック(秋桜:Double Click)/キク科:コスモス属:Cosmos bipinnatus 〕

庭の秋桜。一重よりは八重...ただ漠然とした印象です。
種を蒔き、育てたものではなく今年の夏、新たに苗で迎えたものです。
ラベルには『ダブルクリック』とありました。
涼しくなってからというもの、次々と蕾を立ちあげています。
クリムゾンの八重咲き、スカビオサかと身紛うような花と一緒に
可憐なピンクの花も無数に咲かせます。なんとも不思議な株です。
今、我が家でいちばん新しい季節の花苗。
それだけで母に相応しいように思います。
こぼれ種で増えてくれるでしょうか?

僕の生まれた街のさらに隣街の山間部に、一面秋桜で染まる山があります。
数ある花の中でも、秋桜は特別好きな花ではありませんが、
ほんの僅かに庭にあると、この季節、ひととき故郷を思い出させてくれます。
この開きかけた蕾のように、やさしい二度目の人生が母に訪れるよう。

いつまでたっても母に似合う花が思い浮かびません。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-09-14 00:00 | 月季
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