庭と室内を隔てるもの・繋ぐもの。


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〔Mme. Alfred de Rougemont (Bourbon) /Lacharme:France: 1862〕

この季節は室内と庭を行ったり来たり...。
薔薇や様々な植物の手入れをしながら、同時に撮影もこなし...。
日に日に庭と部屋を隔てる境界線がなくなってゆきます。

我が家は庭に水道栓がないこともあり、キッチンから部屋をつっきって
庭へホースを回します。庭へ降り立つ床は常に水に濡れびしょびしょ。
この季節は乾く間もありません。
休日には終日窓を開け放っていますから、薔薇をめがけて飛来する様々な虫達も
僕と一緒に行ったり来たり...。鉢を取り込んでの撮影にいたっては床に土も落ちますし、
あまり有り難くない(見たくない)虫も一緒について来ます。
アブラムシなどは最近はまったく平気になりました...。

植物を取りまく環境は皆さんそれぞれ十人十色。
狭いベランダでいかにたくさんの植物を育てられるか配置に工夫を凝らし、
同時に洗濯物を干すスペースも確保しながら育てていらっしゃる方。
午前中しか陽が射さない東向きの庭。または沈みゆく西日しか望めない庭。
植物の光合成にかかせない太陽の恵みにはことかかないものの、
照りっぱなしで夏には灼熱の照り返しに思い悩む方。
プラスにもマイナスにもなりうるそんな環境の中で、
試行錯誤しながら植物と暮らしてゆくうちに、自然と知恵がついてきますね。
植物の生育を思いやり、共に共存する事は大いなる想像力を生み出します(笑)

この部屋に越して来た時、僕は非常に身軽な身でした。
元々、家財は電化製品を含め、必要最低限のものだけ。
少々場所をとる古道具や書籍の山を収納するのに骨が折れる程度です。
部屋を案内してくれる不動産屋さんは、もちろんマイナス点はアピールしないものですが
決め手となったのが、窓を開けた時に目に入って来たちいさなスペースだったのです。
運命だったのか、多肉植物に精通している僕の友人から緑の心を開く鍵を
簡単にこじ開けられてしまい、返還を重ねながらも様々な植物達と出逢ってきました。

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〔Yolande d'Aragon (Hybrid Perpetual)/Vibert:France:1843〕

ドクダミの蔓延るささやかな坪庭はスコップで掘り返してみると
瓦礫が出てくるわ出てくるわ...。当初、少なからず辟易した事を想い出します。
きっとこの棟を建てた時に生じた様々な残骸を土に埋めたのでしょうね。
高低の曖昧なデコボコのスペースを、出来る限り平行に均し
友人から譲り受けた2m弱の石盤をそれぞれずらして配置。
おそらく環境にもっとも適した、湿地を好む...、
日照をあまり必要としない山野草等を初めは育てていました。
今でも名残りのトクサやユキノシタ、ミズヒキ...紫陽花などは異様に元気です。

庭で最盛期の薔薇を撮る時、いちばん苦労するのがそのフレーム。
やはり写って欲しくないもの、隣家の雨樋とか物置きとか...。
隣接しているため、おおらかに枝を伸ばしたつる薔薇や高い位置に花を咲かせる
ハナミズキやマユミ。本来なら背景まで写しこんで雰囲気を伝えたいのですが
それがなかなか難かしい...。どうしてもある程度の距離は縮めなければなりません。

うまい具合に目線まで垂れ下がってきたつる薔薇やクレマチスなどは
時によい表情を捉えることも出来ますが、いかんせん個体を撮る時は
室内になってしまいます。心がけていることは自然光で撮る事。
今の時期、午前中から午後3時頃までが勝負です。
休日と薔薇の開花が重なってくれるのがもちろんベストなのですが、
仕事で家を空ける時間が長い為、庭で散らせたいとは思いながらも
そんな人間の思うように咲いてくれる筈もなく...。
室内での撮影が主となってしまいます。

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〔Sai Zhao Jun 賽昭君 (China Rose) /Unknown:China:Unknown〕
〔Eugene de Beauharnais (China or Bourbon) /Hardy:France:1838〕
〔Variegata di Bologna (Bourbon) /Bonfiglioli:Italy:1909〕
〔Sister Elizabeth (English Rose) /Austin:UK:2006〕

1枚目の薔薇は『Mme. Alfred de Rougemont』。
蕾を覆う飾り萼も愛らしい非常に華奢で小さな薔薇です。
カサカサした薄い葉も、とても涼しげ...。
すぐに通り過ぎてしまうような風。たなびく洗い立てのシャツに残る石鹸のような香り。
小さな姿ながら非常にフォトジェニックな表情を持っています。
このちいさな薔薇にはとても清潔な印象を持ちました。
図鑑によってはハイブリッド・パーペチュアルとの表記もあります。

2枚目の写真はつい昨日開花した朝摘みの薔薇たち...。
出勤前は時間との戦い(笑)この大きなボウルがとても役に立ちます。
あますところなく繋ぎ合わされた痛みも味わい深い、僕のお気に入りのひとつです。
非常に古い...欧羅巴のものと聞いています。
摘んだ草花を次々に投げ入れるのにとても重宝しています。
時間と共に僅かに水が漏れるのですが...それもいいのです(笑)

薔薇は左から。光線の具合でちょっと白く飛んでいますがチャイナの『賽昭君』。
乱れた花容ばかりが取り上げられる薔薇ですが、非常に甘い匂いを持っています。
ティー香がベースですが、熟れたマンゴーのような甘さも感じます。
ホントによく咲きます。春の花は限りなく優しい横顔。個別に撮らなければなりませんね。
ふたつに重なっている上段はハイブリッド・パーペチュアルの『Yolande d'Aragon』、
昨年12月にも記事に取り上げましたが、それはそれは濃密な香り。
切って花瓶に挿すと、日に日に香りが薄れてゆく薔薇が多い中、散る間際まで持続します。
摘みたての青い檸檬やラズベリー、割ったばかりの柘榴、パッションフルーツ。
贅沢に盛られた生きた果実の醸し出す甘酸っぱい香り...そんな印象です。
咲き始めは深いカップ状ですが開き切るとちょうどパフのようになります。
整然と並んだ花びらは花芯に向かってせめぎ合うように、終止乱れる事がありません。
下がチャイナもしくはブルボン説も根強い『Eugene de Beauharnais』。
この薔薇も、鼻腔から目頭まで一気に突き抜けるが如く、非常にスパイシー且つ甘い香り。
散り際、少し萎びた花びらが艶やかな紫に染まる時、なんともいえない情感を醸し出します。
続いて『Yolande d'Aragon』、絞りの薔薇はブルボンの『Variegata di Bologna』。
我が家ではすっかりつる薔薇と化し、春に一度しか咲かないものの、
長く伸びた枝先に捩れるように葉を展開させ、開花するにつれゆっくりと降下します。
翳った午後を思わせる、限りなく優雅な薔薇です...。
続く二輪はイングリッシュローズの『Sister Elizabeth』。
放射状に長く伸ばした枝先。俯き咲く姿にとても優しい雰囲気を漂わせます。
マットな暗緑色の葉に最後まで崩れないボタンアイ。花持ちもいいですね。
さわやかですが、青い...時に塩化ビニールのようなちょっと不思議な匂いも...。
そして最後も『Yolande d'Aragon』。今年はあと二輪程蕾が控えています。
我が家ではほぼつる薔薇扱い。大きくしなって重い花首をもたげます。
株元から180cmくらいでしょうか...。枝は直立ぎみで暴れません。

羽音を唸らせ、乱舞する虫達と格闘しながら、休日はあっという間に過ぎてゆきます...。
そう...時間の観念が薄れてゆくのを感じます。

G d D
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by MiscellaneousOGRs | 2007-05-10 00:00 | Sweeter than Sweet
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